生徒・卒業生・部下

どうせ、連絡ないんでしょ?
それならこっち入りなよ。


大学1年生の4月から塾のバイトで研修を始めた。
同じ系列の他の教室で研修してた。
後日、担当の授業が決まったら連絡する、とのことだった。
けど、研修が終わると連絡もなく、バイトに入れない時期があった。
そんなとき、すいみーが中学校の頃に通ってた教室の室長から連絡があった。


どうにも身動きが取れない状態を室長が救ってくれたんだった。



室長にお世話になったのは中学の頃から。
室長の英語の授業を習った記憶はあんまりないんだけどね。
それでも中2の3学期では足りなかった成績を、志望校の合格ラインまで引き上げることが出来たんだからお世話になったんだろうな。*1



高校に入って、同じ系列の高等部の塾に入った。
そんなこともあって、卒業生として時々顔を出してた。


おお、どうした?
トイレ借りに来ました!
じゃあー!!
ありがとうございました!
本当にトイレ借りに来ただけかよ!!*2



大学受験の前は受験勉強させてもらってた。
そんなに広い場所じゃないんだけど、こころよく貸してもらえたし、質問も聞いてくれた。



バイトを始める前も、結構お世話になってた。
だけど、バイトを始めて上司と部下っていう新しい立場になってから、本当に本当にお世話になった。




今日、新しい子が体験授業を受けに来てるからすいみー先生の授業受けさせてください。
よろしく頼むね。
新しい子か。
この塾は楽しくやるのが売りみたいなものだから、楽しく迎え入れてあげるか!


と思ってやってみたんだけど、後日…
あの子たち、数学の授業(つまりすいみーの授業)でちょっと引っかかるらしくて、来ないことにしたらしいんだ。
大失敗だった…
ただ、室長は怒るんじゃなくて、どういう感じでやったらいいかしっかり指導してくれた。



日もあまり空かないうちに新しい子が体験授業に来た。
室長に言われたことを念頭においてやってみると、手ごたえはなかったものの、その子が入塾してくれた。
すいみーが初めてあげた成果だったかな?
そのときはしっかり褒めてくれた。
ちょっと過剰だったかもしれないけど、しっかり評価してくれる人だった。


楽しくて、特徴のある先生で人気があるんだけど、それだけじゃなくて、大事なところはしっかりしてて上司としても信頼できる人なんだって思った。
そのおかげか、バイトの先輩方もホントにいい人ばっかだったもんね。



遠くから様子を見るのが得意なすいみーだから、少し離れたところでよーく見てた。
この先生は、生徒に対してしっかりとぶつかって、受け止めてあげる人だった。
中学生ぐらいの生徒って、キャンキャン大声でほえる仔犬みたいなもの。
本当はとっても弱いんだよね。
虐待やいじめ、先生や親からの不当な扱い、非行に自傷行為、さらには恋の悩みまで…
いろんな生徒がいたけど、しっかりぶつかってたし、受け止めてた。
傷ついた生徒たちの逃げ場になってたんだろうね。
そんな先生だから、卒業生は自然に遊びに来ちゃうんだよね。



この姿勢は本当に、本当に尊敬に値するし、こんな先生になりたいって思った。
ただ、これが本当に難しい、というか今の俺には到底不可能…



大学で積極的に活動できなかったすいみーにとって、この4年間はここで学んだことが全て、といえるぐらい大きい。
大学4年間、この人の下で働けたことは本当に幸せだったし、一番の財産になると思う。
今生の別れになるわけじゃなし、いつでも会いにいけるんだけど、この人から学びながら働けないのは本当に残念。



今日で室長は退職。
生徒として、卒業生として、また部下として、立場は変わりながらも8年間という本当に長い間、本当にお世話になりました。
先生を辞めるわけじゃないから、新しい職場でも、多くの生徒を救って、必要とされていくんだろうな。
俺自身、これから先どうなっていくか分からないけど、学んだことを活かして、何かを受け継いで頑張っていくことが出来たら、と思う。







と、まとめたところで、また月曜日に顔出しに来るみたい…
それに、次の勤務先もすいみーの通った高等部の塾だから(今のバイト先と駅も同じだし)、本当にすぐ会えるんだよね…


なんだかなぁ…
別れの余韻も冷めないうちに会いに行ってみようかな?

*1:というか、自分に合ってない志望校を選んだのが間違いだったような… 「へぇ、この高校、学区内で一番内申点高いのか… じゃあここでいいや!」ってことで内申点が足りてないのに選んだ。

*2:もともと塾があった場所が駅から徒歩1分強の場所で、よくトイレを借りて家に帰った。