彼女の10年後

まず、「15−8」を筆算で書いてみな。
そしたら1の位を見てあげて。
「5−8」ってできる?
ううん
うん、そうしたら上の暗いから10借りてこよう。
「10−8」をやってあげよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「10−8」、わかる?
ううん
そしたら10個○を書いてみな。
○○○○○○○○○○
書けたら8個消してみて。
○○○○○○○○○○
何個残った?
2個。
ってことは「10−8」の答えは?

そうだね。



体験授業で小学生の女の子が来た。
ふぅ、中学生がメインの塾だから基本的な算数の計算教えるのって慣れてないんだよね。
「15−8」みたいな繰り下がりの引き算が苦手みたい。
いっぱい練習してできるようになってもらわないとね。




来年中学に上がる前に…



去年、塾に通ってた当時小6の男の子は病気もちで発達も遅れてた。
だから「3桁−2桁」とかいう筆算の練習をさせてたんだよね。


でも今回来た子はおそらく健常者。
それで「2桁−1桁」(しかも単純な繰り下がり)の計算ができない…
彼女はこれまで学校で何を習ってきたんだろう…
そんで周りの人たちはなぜここまでほっといたんだろう…



「数学・算数なんか大人になって使わないじゃん」ってよく言われる。
確かに普通の生活の中では対数、三角関数、ベクトル、平方根なんていうのは使わないかもしれない。*1
けど、彼女ができないことは多分日常生活の中でも支障をきたすんじゃないかな?
このまま大人になったら、生きていくことさえ不便になるレベル…




これを「ゆとり教育」のせいにしちゃうのはあまりに無責任すぎる。
だけど、できない生徒をほうっておかずにしっかりケアする、というか強制的に勉強させる環境を作らないと。




「10−8」ができない健康な12歳の女の子。
彼女は遅くても10年後には社会に出るでしょう。
日本の将来に不安を抱くのは、過剰反応でしょうか?

*1:実際には数学はいろんな場面で使う。中学、高校生のみんなは一生懸命勉強しましょう!