社会への階段

大学4年の卒業式は自分は出てかないこともあったし、長く研究をしてたわけでもないから「大学生活、楽しかった」っていう感じだった。
けど、今回は院の2年間を送ったことで楽しいだけじゃなく、いろいろ頑張ったなとか、やり残しちゃったなとか、本当にお世話になったなっていう、いろんな感想を持った。
この2年間は、大学4年間よりも数倍密度の濃い勉強の場を与えてもらった。
多分、結構成長できたと思う。


というわけで今日は卒業式。
通い詰めたこの大学とのお別れ。
……最後にして最速の登校時間。
(学校到着時間 AM 6:50)
それにしても、卒業式なんて出るのがダルイだけの儀式なのに…
こんなに憂鬱になるなんて……


すいません、袴のレンタルをしたすいみーですが。
「はい、こちらですね。着付けはしないということですが…」
はい、仲間うちでするんで。


人生で初めての袴。
一緒に卒業する専攻のM2に誘われたんでそうすることにした。
1月、論文提出直前に
『みんな、袴着ることになったよ』
とかいう半分脅しのメールが送られてきたしね…
まあ最後だし、いい思い出になるかなと思ったしね。
他のM2が助けてくれるとは言え、ちゃんと着れるかな?


さらに憂鬱なのが専攻代表。
先生が優秀な人にお金をあげるみたいな賞にすいみーを推薦してくれたんだけど、査読も通ってないすいみーがもらえるはずもなく。
その推薦のおかげか2月の最後に来たメールが
『すいみーくん、専攻代表に選ばれたから』
……お金はもらえず、最後のタダ働きが増えた。



袴も着るのはいい思い出だし、専攻代表もぶっちゃけ卒業証書貰うだけだから大したことない。
だけどこの2つが合わさって「袴で卒業証書授与」になると一気にハードルが上がるわ。
大半が袴のM2席から離れて座ることになるし浮くよな…
袴で歩幅の大きい階段歩けるかな…
単純なことなのにすっげー憂鬱…



(AM 8:00)
他の研究室の人に袴を着付けてもらった。
きちんとした人が見ると、粗がいっぱいだろうけど、なんかそれとなく様になってない? 〜♪
でも歩きにくいな…
ちょっと階段の練習でもしてこようかな。


たっ!
ふみっ!
ずり!
!!!!!!!!!!!!!
階段登れない!!
袴踏んじゃって、少しずつずれてくるよ…
本番の階段はもっと段差あるし、これはまずいかも…
あー、もう! とにかく練習だ!!
たっ!
ふみっ!
ずり!
たっ!
ふみっ!
ずり!



(AM 9:20)
たっ!
すす!

たっ!
すす!

たっ!
ふみっ!
ずり!
代表が前入りしてる本番会場で練習。
だんだん成功確率が高くなってきたけど、まだまだ不安…
他専攻の社会人さんがアドバイスくれて、上手くなってきたけどまだ不安…
こけたらどうしよう…
俺、おいしいの狙うとかそーいうキャラじゃないし…



(AM 10:30)
卒業式スタート。
理事長、いい歳(もうすぐ90歳)なのに頑張ってるな。
学長、大学の宣伝ですか…
来賓、結構いい話するな。
……と思ったのも最初10分、さらに20分もグダグダ話して。


さていよいよ卒業証書授与だ。
「○○学部、卒業××名。」
「右代表、△△。」
「はい。」
(声ちいさ。)
「●●専攻、卒業■■名。」
「右代表、▲▲。」
「はい。」
(もっと声はれよ。)


さて、いよいよすいみーの番だ。
「◎◎専攻、卒業21名。」
「右代表、すいみー。」
「はい。」
(声、裏返らなくてよかった。)
「◎◎専攻の学生は起立してください。」
がたがた



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(その時の会場の雰囲気を研究員さんや後輩の話から)
「◎◎専攻、卒業21名。」
「右代表、すいみー。」
「はい。」


「あ、代表の人袴だ!」
「成人式みたいw」


「◎◎専攻の学生は起立してください。」
がたがた


ざわざわ… ざわざわ…
(大半の男性が袴の異様な集団に会場がざわついたらしい。)
(すいみーの研究室の先輩いわく「数の多い他専攻に圧勝した」。)
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(いよいよ階段だ)
(こういう場面だし、ゆっくり上がっていくのはなんも問題ない)
(踏んでもこけなきゃ大丈夫だ)
(この6段が飛び出していく社会への階段だ)


たっ!
すす!



たっ!
すす!



たっ!
すす!



たっ!
すす!



たっ!
すす!



たっ!
ふみっ!
くぁwせdrftgyふじこlp
ずり!
(ふぅ、袴が少しさがっただけで済んだ、よかったぁ)


卒業式も終了。
代表も無事務められてよかった。
やる前はめんどい、憂鬱がすべてだったけど、この愛すべきバカ集団の専攻を代表させてもらえて本当に誇れる。
あんまりノリのいいほうでないすいみーを研究室からひっぱり出してくれて*1、仲良くしてくれて、助けてくれた彼らには、本当に心から感謝。



大学院、感謝する人ばっかだな。
いい人たちに出会えて、本当によかった。


(14:30)
研究室で先生から卒業証書授与*2
卒業証書授与の時間ですが、野球中継延長のためこのまま野球を見続けます。*3
卒業証書授与は卒業を祝うのか、世界一を祝うのかよくわからない雰囲気にw
まあ、9回で逆転されて嫌な雰囲気でやることにならないでよかったw


(18:20)
懇親会も終わって、研究室の飲み会。
この3年間、すいみーが「主」となり続けた研究室とも最後のお別れ*4
楽しいこともキツイ時期もみんなこの研究室で過ごしてやってきたんだもんね。
来年度のM1はすいみーよりはるか技術力はあって、面倒見も悪くはない。
院生1人は大変だろうけど、心配する必要ない子。
きっといい研究室になると思う。
この3年間は研究室が活気づいていい方向になっていくのを見続けることができた。
遊びに来るとき、もっといい研究室になってることを祈って。

*1:大学院に学生が少ないため、研究室だけだと盛り上がれない。自分の研究と全く関係ないことをしてる人たちと交流できるのはいいところだと思う。

*2:代表以外は各研究室の先生から渡される

*3:ダルビッシュが9回抑えてれば普通に授与できたのに… まあ時間延長を最低限で抑えてくれたイチローに感謝。

*4:研究室の事務的なことの大半をすいみーがやってた。